天狗のはやし
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昔、権現様の森から、毎晩「トントンピーヒョロ ピーヒョロリ」とゆっくりとしたテンポで、笛の音がかすかに聞こえてきていました。
村人達は、それを天狗のはやしと呼び、とてもこわがっていました。
ある日のこと、一人の老人が森の中に入って行くと、とてもすばらしい笛が落ちていました。
老人が思わずその笛を拾い上げると、急に体がすくんだようになり、気も遠くなってしまいました。
そして、ふと気が付くと、いつのまにか権現様の前に立っていたのです。
老人が、おそるおそるその笛を権現様に奉納すると、気持ちも落ち着き、すくみもなおったということでした。
しかも不思議なことに、その夜からおはやしも、ピッタリ聞こえなくなったということです。
権現様は、伊奈氏の屋敷内にあって、伊奈氏の守護神として、忠次、忠政、忠勝が尊信してきた神様でした。
※権現様
普通は徳川家康を祀った東照宮のこと。家康死去の翌元和三年(一六一六)天海僧正の建言により家康は久能山から日光に改葬され権現として祀られた。同年朝廷から東照大権現の神号を受け、正保二年(一六四五)宮号を受け東照宮と称した。東照宮は各地の城内に立てられているが、伊奈屋敷では、これと異なり、頭殿権現社を祀っていた。
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